みなさんは「ケフィア」という食べ物は聞いたことありますか?
ケフィアはあまり知られていませんが、発酵食品の内の一つで健康効果もとても優れています。
またヨーグルトと同じ発酵乳に分類され、見た目も似ていることからケフィアヨーグルトなどと呼ばれ日本でも商品化(粉末・サプリ等)されています。しかしケフィアとして販売されている商品の中には、本来のケフィアとは成分が異なるものもあります。
そこで今回は本場のケフィアと日本で販売されているものは効果も違うのか?また、似ているヨーグルトとの違いなどについてご紹介していきます。
目次
本場のケフィアとはいったいどんなもの?
ケフィアと言われても日本ではあまり馴染みがないので、聞いたことがないという人もいれば名前だけは聞いたことがあるという人もいると思います。
まずは本場のケフィアはどういったものなのか?また日本で販売されているケフィアとの違いを書いていきます。
ケフィアはロシアで誕生
ケフィア発祥の地はロシアのコーカサス地方というところです。ケフィアは大昔の1000~2000年以上も前から食べられていた伝統の発酵乳だそうです。
ケフィアがどうして誕生したのかは未だ謎に包まれていて、様々な説があるそうです。
ケフィア誕生のカギを握るのは、コーカサス地方特有の食生活にあります。 コーカサスの山岳民族は、水分補給のために古くからヤギや牛、羊の乳をヤギの皮袋に入れて自然発酵させて飲んでいたそうです。そして、中身が減ってくるとそこにまた新しい乳を足し、発酵させて飲み続けます。皮袋は家の出入り口に吊るされていて、出入りする時に、中身を棒でかき混ぜたり、揺らして撹拌していました。これを繰り返しているうちに、いつの間にかケフィアグレインが生み出されたというのです。
このほか、山でしぼった牛やヤギの乳を皮袋に入れ、馬の背で揺られて帰る間にその乳が日光で温められながら撹拌され、夕方になり気温が下がると冷やされて偶然にケフィアグレインが生まれたという説もあります。
引用元:日本ケフィア協会
このようにどのようにして生まれは定かではないようで、いつの間にかできていたようですね。
ちなみに上の話に出てきた『ケフィアグレイン』とはこういうものです。
詳しく説明すると『ケフィアグレイン』を発酵させ、できた発酵乳がケフィアと呼ばれています。
ケフィアグレインはケフィア特有の乳酸菌と酵母が奇跡的に共存していることから『神様からの贈り物』と呼ばれることもあるそうです。
なんか細かくしたカリフラワーみたいですね。
実は日本でも1990年代に『ヨーグルトきのこ』という愛称で親しまれ、家庭でケフィアを培養して増やすのが一時期ブームになったみたいですね。
しかし衛生管理が難しいためすぐにブームは去ってしまったそうです。
日本で販売されているものとの違いは?
日本でもケフィアやケフィアヨーグルトと名の付く商品(種菌・サプリ等)が販売されていますが、実は本場のケフィアとは少し違う可能性が高いです。なぜかというと国際的なケフィアの規格があるからです。
ラクトバチルス属ケフィリ種、ラクトコッカス属・リューコノストック属の乳酸菌、アセトバクター属の酢酸菌を含まれる必要があり
それに加え、クルイベロマイセス属マルシアヌス種の酵母、サッカロマイセス属の酵母も含むことが条件となっています
ちょっと訳がわからないかもしれませんが、
ようするに指定された菌が含まれていれば、ケフィアとして認められるということです。
※日本で販売されているケフィア(種菌・サプリ等)を調べてみると、上記の指定された乳酸菌や酵母が含まれていないものもありました。
もしかしたら日本でのケフィアの定義や規格は違うのかもしれませんが、調べてみてもそういった内容は出てこなかったのが残念です。
もちろん乳酸菌や酵母まで入っているので、体にはとても良いと思います。しかし、本物のケフィアグレインから発酵して作ったケフィアはもっと凄いです。
国際規格では合計6種以上の乳酸菌や酵母が含まれていればケフィアということでしたが、本場のケフィアには十数種類~20種類以上の乳酸菌、酢酸菌、酵母が含まれているそうです。
本場のケフィアは効果も違う?
効果に関しては研究したデータ等がないようなので、なんとも言えないところです。
ただ人の腸内環境は複雑なため、乳酸菌の種類によってその人に表れる効果が違うと言われて、多くの種類の乳酸菌を摂取したほうが効果が高いとされています。
本場のケフィア | 十数種類~20種類以上の乳酸菌、酢酸菌、酵母 |
---|---|
国際規格のケフィア | 指定された合計6種以上の乳酸菌、酢酸菌、酵母 |
そう考えるとやはり本場のケフィアは優秀に見えてしまいます。
余談ですが、ロシアに肌が白くて綺麗な人が多いのは、ケフィアが日常的に親しまれてるからなんて言われてたりするそうです。ロシアは紫外線も少ないそうなので、どちらかといえばそれがかなり関係していそうですが、これだけの菌が含まれていれば少なからず体にも影響はありそうです。
ケフィアの健康効果
ケフィアは複数の乳酸菌と酵母からなり菌の種類が豊富だということがわかりましたが、次はどのような健康効果があるのか説明していきます。
- 整腸作用
- 免疫力の向上
- 基礎代謝アップ
- 美肌効果
の順に紹介していきます。
整腸作用
ケフィアに含まれる乳酸菌には整腸作用があり、腸内で働きかけることで腸内環境を善玉菌優勢に保ちやすくなります。
また腸内にたどり着く前に胃酸や胆汁酸などにやられて死滅してしまう乳酸菌もありますが、死滅してしまった乳酸菌も善玉菌のエサになるので無駄にはならないそうです。
効果に関してはヨーグルトに似たところがあります。ただしケフィアは乳酸菌の種類がヨーグルトよりも豊富な為、腸内に与える影響も高いと考えられます。
たしかな根拠は無いですが、摂取する乳酸菌の種類は多いに越したことはないと言われています。それを理由にヨーグルトよりも優れているという声があるみたいですね。
実際に本場ロシアでケフィアが食べられているのは健康の為のようです。
ロシアではヨーグルトも販売されているようですが、どちらかというと嗜好品のようで、ケフィアは健康の為に摂取するそうです。
酵母の働きも
ケフィアは複数の乳酸菌と酵母の共存発酵と言いましたが、乳酸菌だけでなく「酵母」も良い働きをしてくれます。
酵母はビタミンやタンパク質など様々な栄養素を含む生きた微生物で、酵素を生み出します。
そのうえ酵母は酵素に比べ酸にも強いため生きて腸内に届き酵素を生み出してくれます。
免疫力の向上
『NKGケフィア』が行った研究では、ケフィアに含まれるスフィンゴ脂質という物質が※インターフェロンβを14倍も増強させたという結果が出ています。
参照元:日本ケフィア株式会社(NKG)
簡単に説明すると、悪い細胞をやっつけるキラー細胞というものがいるんですが、そのキラー細胞達を活性化させる働きがあります。
基礎代謝アップ
便秘解消やダイエットには代謝を上げることも大事、といったようによく言われていますがまさにその通りです。
代謝が悪いと血行も悪くなり身体の隅々まで栄養が届きにくくなってしまいます。
そうすると身体に必要のない老廃物の排出もうまくいかず、便秘や太る原因になってしまいます。
腸内環境を良い状態に保ち消化吸収をスムーズにすることで代謝も上がるので、便秘解消やダイエットにもいい結果をもたらしてくれるはずです。
ケフィアには複数の乳酸菌が含まれているので、腸内環境を善玉菌優勢の良い状態にしてくれることによりいっそう期待が持てると考えられます。
美肌効果
上の基礎代謝でも説明しましたが、腸内環境を良くして代謝が上がれば全身に栄養を届けやすくなるので、肌の乾燥やニキビなどのトラブルも改善する可能性もあります。
また『NGKケフィア』は肌に関することで特許も取得しています。
ケフィアを食べることで
- 美白に効果がある
- シワやたるみを防ぎ改善できる
- 皮膚の弾力性が向上する
- 保湿作用がある
上記の効果についての特許が認められています。
参照元:日本ケフィア株式会社(NKG)
こういった肌に関するデータはなんとも言えないところがありますよね。
個人差もあると思いますし、全てケフィアのおかげかと言うとちょっとわからないですからね。
ただ研究データに基づいて特許まで取得していることから、少なからず効果はあるんじゃないでしょうか。
ケフィアとヨーグルトの違い
ケフィアとヨーグルトは両方とも発酵乳の為、同じように見られることが多いですが実は決定的な違いがあります。
菌の種類が違う
まずは菌の種類による違いです。
ケフィア | 複数の乳酸菌と酵母による共存発酵 |
---|---|
ヨーグルト | 基本的に2種類程の乳酸菌による単独発酵 |
冒頭でも少し触れましたが、ケフィアは乳酸菌の種類も多く酵母も含まれていてお互いが共存して発酵していることです。国際的な規格でも6種類以上の乳酸菌や酵母、本場のケフィアに至っては十数種類~20種類以上の乳酸菌や酵母が含まれています。
それに対してヨーグルトは、ブルガリア菌とサーモフィラス菌の2種類が入っていればヨーグルトとして認められます。
発酵させる時の温度や時間の違い
一般的なヨーグルトの発酵時間や温度が違います。
発酵時間 | 発酵温度 | |
一般的なヨーグルト | 40℃前後 | 6~8時間 |
カスピ海ヨーグルト | 20~30度 | 24時間前後 |
ケフィア | 25度前後 | 24時間前後 |
このようにケフィアは温かい季節なら常温でも発酵可能で、発酵時間や温度はカスピ海ヨーグルトに近い感じですね。
見た目や味について
見た目はカスピ海ヨーグルトに似ていて、しっかりとは固まらずに少しドロっとした感じです。
ケフィアはヨーグルトと比べると酸味が少なめで、爽やかな風味が特徴的です。それにはケフィアに含まれる『酵母』が関係しているようです。
酵母は発酵過程で二酸化炭素や微量なアルコールを発生させ、爽やかな独特の風味を感じることができます。
別物なのにケフィアヨーグルトと呼ばれる理由
本来なら別物で違うはずなのに、なぜかケフィアヨーグルトという商品があったり、そう呼ばれていることが多いです。
これは自分の勝手な推測ですが、おそらく日本でのケフィアの知名度が関係しているんじゃないかと思います。
知らない人にとってはケフィアと言われても正直なんのことだかわからず、全く想像もつかないはずです。それだとメーカー側は困るので、ケフィアヨーグルトと名付けることで、
『特殊なヨーグルト』や『ヨーグルトの種類』など牛乳を発酵させて作る物を連想させているんじゃないでしょうか。実際に見た目も似ているので、おそらくわかりやすくする為にケフィアヨーグルトと名付けたんだと思います。
ケフィアはどこで買える?
残念なことに本場のケフィアグレインから作ったケフィアは日本では販売されていません。
これにはちゃんとした理由があります。
日本で販売できない理由
なぜかというとケフィアは発酵過程で炭酸ガスを発生させるので、密閉された容器に入れておくと容器が膨張してしまい破裂してしまう可能性があるそうです。
日本では一部を除く加工食品は密閉しないといけない決まりがあるので、炭酸ガスを発生させるケフィアは販売することができないそうです。
ちなみに外国では破裂を防ぐために容器に穴を開けて販売しているらしいです(これにはびっくりです)
外国はやっぱりそういうところが豪快ですね。
ケフィア粉末(種菌)なら購入できる
発酵させたケフィアを買うことはできないんですが、ケフィアを乾燥させて粉末状にしたものならネット通販で購入することができます。
粉末状にしたものは『種菌』と呼ばれていて牛乳や豆乳に入れて発酵させることで家でも簡単にケフィアを作ることができます。
ただし、すこし前に説明しましたが日本で販売されているケフィア粉末は、乳酸菌と酵母は入っていても本場のケフィアとは少し違う可能性が高いです。
実は本物のケフィアを扱っているところもあるんですよ。
ケフランの『オリジナルケフィア
詳しく調べてみたところ、ケフィアグレインより作られたケフィアを粉末化したものだそうです。
『NGKケフィア』は様々な研究を行っていて、ケフィアの効能・製造方法においても過去に特許を取得しているようです。
またロシアのアカデミーと契約こそしていませんが、ロイヤルユキの『手作りケフィアヨーグルト
こちらは種菌や発酵ウォーマーがセットで価格も安いのが特徴的です。
僕も以前に購入し、実際に作ってみた記事もあるのでよかったらご覧ください。
まとめ
ケフィアはまだまだ日本では知名度が低いかもしれんが、乳酸菌や酵母の数が多く、やはり健康効果は高いと思います。
最後にケフィアについてもう一度まとめておきますね。
- 本場のケフィアは菌の数が多い(十数種類以上)
- ケフィアには規格があり満たしていればケフィアと呼べる
- ヨーグルトとは菌の数や種類、発酵時間、味も異なる
- 整腸作用や免疫力向上などの健康効果に期待できる
日本では市販で気軽に買えないというのが残念ですが、気になった方は一度試してみるのもいいと思います。